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研究内容

現代社会ではデジタル化される情報の総量が膨張し、その情報処理に係わる電子素子が消費する総電力量も急激に増加しています。情報社会を維持するには革新的なエレクトロニクスの開発が急務です。そのためにはエレクトロニクスの担い手である電子が示すふたつの特性(電荷とスピン)をこれまでにない視点から理解することが重要です。本研究グループでは、これまでほとんど活用されていないスピン物性を探求し、そのデバイス応用を進めて行きます。「いかに磁気の根源である電子スピンを操り、量子力学的なスピンの特性を読み解くか」という基礎物理学的な問題に取り組むと同時に、「ハードディスクデバイスを中心とする情報処理技術の限界を突破する」という産業界の要望に応えることを目指しています。 また、研究室で開発する実験技術を最大限に活用して、スピン物性のみならず幅広い分野における電子物性・材料物性に関する研究を進めています。

スピンエレクトロニクス

我々が研究を進める研究分野のひとつに「スピンエレクトロニクス」と呼ばれる科学・技術分野があります。従来のエレクトロニクスでは電子が持つ電荷の特性を利用していますが、スピンエレクトロニクスでは電子の有するスピンの特性を活用します。スピンエレクトロニクス技術を用いると、例えば、電流を用いて極微細な磁石(磁性体)の磁化状態を変えることができます。これは電子の流れ(電流)に伴うスピンの流れ(スピン流)を利用することで可能となります。これまで磁石の状態を変えるには外から大きな磁場を加えるしかありませんでした。スピントロニクスではこれまでの常識を覆す概念の変革が数多く報告されており、エレクトロニクスを発展される研究分野として大きな注目を集めています。本研究グループでは、具体的には、次のような研究テーマを行っています。

・金属磁性細線中の電流や電圧に駆動される磁化ダイナミクスの微視的解析

・純スピン流、スピン流スピン波、熱スピン流が誘起する磁化ダイナミクスの微視的解析 など

スピン位相エレクトロニクス(キラル磁性体を用いた次世代スピンエレクトロニクスの創成)

キラル磁性体において固有に現れる“巨視的スピン位相秩序”を用い、スピン位相エレクトロニクスを創成することを目指しています。巨視的スピン位相コヒーレンスに起因して発現する量子機能を活用し、情報処理技術を格段に向上させるための基盤原理を創出し、革新的情報処理磁気デバイスを創製するための道筋をつけます。スピンエレクトロニクスに新たな展開をもたらすと期待されています。

電子顕微鏡法(ローレンツ顕微鏡法、小角電子線散乱法など)の開発

本研究グループでは、透過型電子顕微鏡法を用い、外力(温度、磁場、電流など)を制御した実験条件のもと、物質内外の電磁場分布を直接観察することができます。この技術を用いると、例えば、電気信号印加により磁性体中の磁気状態がどのように変化するかを高空間分解能で直接観察することが可能となります。自ら開発する“その場”観察技術を駆使して、スピンエレクトロニクスに関する新たな物理現象や制御技術を見出し、その微視的知見をもとに次世代磁気電子素子の新たな動作原理や開発指針を産み出すことを狙っています。電子顕微鏡を用いスピンエレクトロニクスの新展開を導き出す研究スタイルは世界でも独自のものといえます。また、本技術を活用し、全固体電池中のイオン伝導や強誘電ドメインダイナミクスのその場解析に関する研究を進めています。

電子線物理学の探求

透過型電子顕微鏡で用いられる電子線は数百 kV もの高電圧で加速され、数 pm(p は10-12)の極めて短い波長をもちます。電子線は結晶構造解析や電磁場解析に活用されてきましたがその潜在能力はまだまだ計り知れないものがあります。電子線を用いた新たな物理現象の観測を含め、電子線物理学の新たな展開を探求しています。

 

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